アトピーと抗生物質。(マイロさん 最重症アトピー 20代 男性)
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
前回に引き続き、最重症アトピーがよくなられたマイロさんについて書きます。
1 最重症アトピーの改善例・写真と経過
2 ステロイド恐怖症の特徴。
3 ステロイド恐怖症から解放されるとき。
4 アトピーの食事療法の進め方。
5 アトピーと抗生物質。(終)
今回は、アトピー改善中に抗生剤を服用する場合の心構えについてです。
食事療法中に別の疾患が起こって、抗生剤を処方されることは、けっこうよくあり、また、そのために患者さんが戸惑うことも、よくあることです。
■アトピーと抗生剤
マイロさんが食事療法とステロイドの併用を始めてから10日目ぐらいに、お母さんのはるさんに、こんなご報告を頂きました。
↓↓↓
身体に膿みを持った湿疹ができたので昨日また受診をしました。
湿疹は、ニキビでした。ステロイドの悪い面が出たんでしょうという診断でした。
抗生剤の塗り薬と飲み薬が出ました。
抗生剤はアトピーを悪化させるイメージがあるので心配ですが。
10日分も出ましたし。
(ところどころ太字にしたのは佐々木)
えっ、そうなの? と思う方に解説します。
まず、ステロイドの副作用として、ニキビなどのできものができやすくなるというのはあります。
そもそもアトピーとは、免疫反応が過剰になる疾患です。
免疫とは、体に害をなす色々なものから、身体を守るための炎症反応です。
この過剰な免疫反応を抑えてくれるのが、ステロイド。
これによって、皮膚表面の炎症反応は一時的に治まるわけです。
しかし、これによって、免疫反応が弱くなり、細菌やかびなどが働きやすくなります。
その結果、にきびなどのできものができやすくなったり、とびひが広がったりするのです。
そんなとき、お医者さんはどうするか。
こんどは抗生剤を処方します。
抗生剤とは、悪い細菌をやっつける薬です。
これによって、できものやとびひが治るわけですね。
しかし、抗生剤の働きは、それだけでは済まないことがあります。
抗生剤は細菌を殺す薬なので、腸内細菌もダメージを受け、消化能力が低下してしまうのです。
抗生剤の副作用に、おなかが緩くなったり下したりというのがあるのはそのためです。
そして、消化能力が低下すると、悪化してしまうのが、アトピー。
アトピーの根本的な原因は消化不良だからです。
つまり、
アトピーを抑えるためのステロイドの副作用で、ニキビができたけれど、
今度はニキビを治すための抗生剤で、アトピーが悪化したら元の木阿弥ではないか?
はるさんはそれを心配していたわけです。
■抗生剤は処方を守って
このように、抗生剤は、アトピー患者さんを悩ませます。
抗生剤の副作用を知らずに使って、アトピーが悪化して、原因がわからず戸惑うこともあります。
また、脱ステをしていた患者さんは、ナチュラル派が多いので、ステロイドだけでなく、抗生剤の服用じたいに抵抗があるケースも、少なくありません。
そして、そのような戸惑いや不安から、処方された抗生剤を飲まずにいたり、途中で辞めてしまうということが、頻繁にあります。
はるさんも、そうでした。
一錠だけ飲ませて、やはり飲ませたくないと、飲ませるのをやめようとしました。
しかし、これはいけません。
というのは、抗生剤というのは、飲みきらないとよくないことがあるからです。
菌というのは、抗生剤を飲み始めても、そう簡単に全滅せずに、抵抗力をつけてまた繁殖する機会をうかがっています。
そして、抗生剤を飲むのを勝手にやめてしまうと、抵抗力をつけた菌が繁殖し、その抗生剤を学習して、次から効きにくくしてしまうのです。
ですから抗生剤は、処方された量を、しっかり飲みきらないといけません。
途中で症状がなくなって、治ったように見えても、です。
抗生剤は、一定量をしっかり飲むか、まったく飲まないかの、二択しかないのです。
ですから、飲みたくなかったり、不安な場合は、事前にそれを医師にしっかりと伝えましょう。
症状によっては、つよい内服タイプの抗生剤は使用せず、塗るタイプのものにしてくれるかもしれません。
(薬の処方の適切さについて、私に聞いてくる方がけっこーいますが、私は医療関係者ではないので、お門違いですよー(^_^;)!)
ただ、抗生剤の副作用は、そんなに恐れなくても大丈夫ですよ。
というのは、腸内環境というのは、一度乱れてしまっても、食生活や生活習慣さえ整っていれば、数日で復活するからです。
ですから、アトピーが悪化するとしても、数日のことです。
その期間はニキビなどをしっかり治す期間と割り切るとよいでしょう。
治ったら、また、もう一度腸内環境を整えればいいのです。
マイロさんも、抗生剤の副作用は大きな問題にはなりませんでした。
↓↓↓
抗生剤はアドバイスいただいたように皮膚科に相談に行き3日で飲むのを終えました。
ステロイドをまた1ランク下げ処方され、ニキビの様子を見ながら薄めに使っています。
まだ時々ニキビはできますが、広がることはなく過ごしています。
抗生剤の影響はやはりあり、顔にまず炎症が出て、腕、足と出ました。今は少し落ち着きました。
ステロイドや抗生物質を、不安を持ったまま使い、皮膚表面だけ見ていると、どうしても症状に振り回されてしまいがちです。
ですから、大切なことは、二つの薬剤の役割と副作用を知り、たどる経過を知ることです。
そうすれば、症状が一時的に悪化しても、不安に振り回されず、落ち着いて対応できますよ。
さて、これでマイロさんの記事はおしまいです。
はるさんとのやりとりは、私にいろんなことを教えてくれました。
マイロさんのアトピーがよくなるにつれて、痛みが軽減し、歩く姿勢がまっすぐになってきた、とご報告を受けたときは、ほんとうにうれしかったです。
こうして改善記事まで書かせていただいて、本当にありがとうございます。
感謝、感謝です。
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