ナチュラルなものは身体にやさしい、の落とし穴

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2022年10月24日 月曜日

ナチュラルなものは身体にやさしい、の落とし穴

こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。

 

 
 
 
この記事は、「植物油はナチュラルで体にやさしい」という漠然としたイメージを、以下の三つに分け、その実態を語ってみようというものです。
 
(誤解を恐れず言えば、私はこれらすべてのメッセージが、アレルギー予防や改善の観点からは、間違いであり、有害であると考えています)
↓↓↓

1 植物油は身体にやさしい
2 植物油はナチュラルだ
3 ナチュラルなものは身体にやさしい

 
今回は3ですが、ナチュラルの定義は難しいので、ここでは便宜的に「ナチュラルな食品だと思われやすい食品」と、そこにつきまとう危なさについて、書いてみます。
 

(写真はすべて借り物でイメージです)
 
さて、私が、数年のアトピー患者さんたちとの関わりの中で、わかってきたことがあります。
「ナチュラル志向の人が多い」
「一度いいと思った食品をひたすら摂ろうとする人が多い」
ということです。
 
例えば、玄米、豆乳、スムージーなどを毎日とっていた人。
オメガ3がよいと知った後は、症状が改善しても、あまに油を毎日とり続ける人。
 
そこには、「よいものをとればとるほど健康になれる」という、現代的な、根強い思い込みを感じます。
しかし、残念ながら、そんな魔法の食品はないのです。
 
 
■成分的には素晴らしくても
現代の栄養学は栄養成分とその効能について解説してくれます。
 
例えば玄米であれば、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富であり、アンチエイジング、便秘解消、代謝を上げるなどの効果が謳われます。
 

 
豆乳であれば、サポニンやレシチンが脂肪の排出を促し、タンパク質が基礎代謝を上げてくれるそうです。
 
加工度が低いとか、植物性であるとかいう点でも、ナチュラル派にとても人気があるこれらの食品。
 
しかし残念ながら、これらの食品は、アトピー発症の原因としてとても多いです。
 
なぜか?
消化が悪いからです。

 
私たちのご先祖様は、それを経験値で知っていたからこそ、
 
はるか弥生時代から、玄米を何とか搗いて食べやすくしようとしていたし、
(玄米が日本で常食されていたというのは大きな誤解です)
 
豆乳を、わざわざ海から運んだにがりで固めて、消化のスピードをゆっくりにしたり(豆腐、湯葉、油揚げ、厚揚げ)、
 

 
他の大豆製品はわざわざ発酵させて、菌にタンパク質をアミノ酸レベルまで分解してもらってから口にしたのです(味噌、醤油、納豆)。
 
豆乳の健康効果!・・・の前に。

グリーン・スムージーの落とし穴。
卵かけごはんに要注意!
玄米についてのコラム
『玄米は伝統食』のウソを暴くマンガ。(描きかけですが)
 
その食品が持つ成分がどんなに素晴らしくても、それが体内でどう作用するかとは別問題。
 
そして、それをとり続けるべきか、迷ったときの指針とすべきなのは、漠然としたイメージや、購買意欲をあおる情報ではありません。
私たち日本人が培ってきた食文化なのです。
 
 
■変えるのはそこじゃない
ナチュラル系の食品のもうひとつの危なさは、何かの代わりとして摂取を促されることです。
 
例えば、バターの代わりに植物油を。
白砂糖の代わりに黒糖を。
 

 
しかし、前回も書いたように、
そもそも、何かを摂り過ぎている食生活そのものを顧みず、よりナチュラルそうな別の食品に切り替えると、あらたな別の問題を呼び込む恐れがあります。
 
「体にいい油」という幻想(あまに油の過剰摂取の副作用について)。
「黒糖なら身体にいい」の落とし穴。
肉は身体に悪い?・・・の前に。
 
また、私の本を読んだ結果、
肉はダメと断じて、魚しか取らなくなったり、
あまに油をたっぷりとって一週間で瓶が空になる生活をしたり、
毎日サバ缶を食べるようになったりという方もいますが、それも同じように危険です。
 
確かにわたしの本では、一時的にα-リノレン酸を集中的にとる食生活を勧めています。
しかしそれは、患者の長年の偏食によって、シーソーのバランスが崩れているときだけのこと。症状が治まったら制限を緩め、自分のシーソーの乗りこなし方を見出すことだ大切だと、私は書きました。
 
また、本の中では便宜的に、α-リノレン酸を「善玉」と表していますが、
 

(拙著『アトピーが消えちゃった! マンガでわかる体質改善』より)
 
これは紙幅の関係でわかりやすさを優先させたためで、
当時から私と伊藤龍一さんは、この表現によって、このイメージが読者の頭に絶対的なものとして定着してしまうことを恐れていた部分がありました。
 
私たちの心配はある程度当たっていて、「アトピーを治そうとして毎日サバ缶を食べていたら、今度はサバ缶のアレルギーを発症した」という方が、これまで2人いました。
 
サバは「絶対的に健康にいい食品」ではないからです。
 
どんな食品でも、とりすぎれば悪さをするのです。
あまに油の過剰摂取にだって副作用があるのです。
 
けれど、これからも「〇〇を毎日とろう」という情報は、なくならないでしょう。
なぜなら、生産者にとっては、毎日とってもらえれば継続的に物が売れるからです。
 
そして、誤解を恐れず言えば、消費者がそういった情報に飛びつきやすいのは、楽だからです。
健康のために毎日とり続けるものを決めてしまえば、ある意味、それ以上考えなくて済むからです。

 
しかし、考えるのをやめてはいけません。
私たちが改めるべきは、食品そのものではなく、食卓における、食品同士のバランスです。
 
悪い食品もないし、いい食品もない。
 

 
あるのは「良いバランス」であり、
それを知るためには日本の食文化を振り返ることと、日々、自分の体調と向き合っていくことなのです。

 
 
これで連載はおしまいです。
非常に長くなってしまいスミマセンヽ(^o^)丿




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