佐々木が牛肉を食べないワケ。

トップ > その他 > 日々雑感 > 佐々木が牛肉を食べないワケ。
2021年7月31日 土曜日

佐々木が牛肉を食べないワケ。

こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。

 
先日、インスタグラムのメッセージで、こんな質問を頂いた。
ご本人、まりまりさんの許可を得て転載する。
 

「投稿を見ていると、佐々木さんは牛肉を食べないようですが、どんな理由があるのか、お聞きしたいです。(中略)
 
〇先生(※)は、人間は本来四つ足のものは食べない、牛も昔は食用ではなかった、人間は自分ひとりでつかまえられない物は食べると体に悪いという考えなので、私も牛を食べません。(後略)」

(※まりまりさんが食生活を送るうえで参考にしている思想家)
 

 
アトピー改善食についてあれこれ発信していると、マクロビとかビーガンとかナチュラル系思想とかの実践者だととらえられやすく、時折こういった質問を頂く。
 
率直に言うと、私はそういうカテゴリの人間ではないし、「人間は本来動物を食べるべきではない」ともおもわない。
 
むしろ、こんな活動をしてきて、この「人間は本来・・・」という言い方は、使い方によっては人間の思考力を奪ってしまうやっかいな言葉だと感じるようになった。
というのは、この言い方は、ナチュラル系、脱ステ派など、アトピーのスムーズな改善を妨げがちな思想体系が語られるときに頻出するからだ。(そしてそれは、畜産物全否定、植物性全肯定、昔の日本人は玄米常食していた幻想、などにつながる傾向がある)
 
私がこの「人間は本来・・・」に対して感じるようになった抵抗感について、いい機会だから勢いのまま書いてみる。
 
わたしはそもそも、この「本来」って、いつ、どこで生活していた人間を指してるの? と、疑問に思ってしまうのだ。
 

 
人間は約10万年前にアフリカで生まれてから、東西南北へ新天地を求めて移動してきた。
いまでも、よくこんなところに住めるなあというところで暮らしてきた人たちがいる。
 
たとえば、砂漠の民ベドウィンはタンパク源としてほぼ自作のチーズしか食べない。
ヤギやヒツジに、地面をはうようにして生える背のひくーい草を食ませて、そのお乳を絞ってカラッカラのチーズにしてかじる。
 

 
たとえば、インドネシアのラマレラ村はタンパク質をマッコウクジラにたよって生きている。
小さなボートからクジラ狩りの達人が身を躍らせるように海中に飛び込み、銛をつきこんでクジラをとる。
それで命を落とす人も少なくないけれど、かれらはそうやって生活してきた。
 

 
たとえば、パプアニューギニアの高地には、食べ物の八割以上をイモでまかなっている人たちがいる。
彼らはタンパク質がぜんぜん足りないはずなのに、男の人たちは筋骨隆々で、
それはどうやら、彼らの腸内に私たちとは全く違う種類の腸内細菌がいて、彼らに特殊な恩恵をもたらしているかららしい。
 

 
そう、人間は、食べられるものなら何でも食べてきた。
カエルだって、クジラだって、虫だって、海亀だって。
 
それで、生きられそうならそこに定住する。そうやって生きる範囲を広げてきた。
 
そういう人たちを「本来的か」「人として自然か」そんな言葉で分けられるだろうか?
 
私はそんな人間の食性のふり幅の大きさ、また順応力の高さに感動を覚えるし、
「食べられそうなものは何でも食べる」ということこそが、人間の食性の本来の姿(あるとしたら)ではないかとおもうのだ。
 
それにそもそも、人間は、肉食によって人間になったことを忘れてはいけない。
 
今から250万年前くらいに、地球では大きな気候変動が起こって、寒冷化と乾燥化の時代にはいってしまった。
そのために、豊かな森は減少し、草原が増え、人類の祖先たちは、それまでのすみかである森から、草原へ出ていくしかなかった。
 

 
そこで、私たちの祖先とされるホモ・エルガステルが見つけた食糧が、草食動物の肉。
しかも、ライオン的な大型の肉食動物が狩った、鹿的な草食動物の残骸を、隙を見つけてかじっていたらしい。食べ残しの骨についた肉とか、髄液とかね。
 
この肉の高い栄養が、たくさんのエネルギーを食う脳の容量を飛躍的に大きくする要因になって、ホモ・エルガステルが今の人間の祖先となったというのが、人間の進化の定説だ。
(ちなみに同時期に存在したもう一種の人類、パラントロプスは、植物の根を主食としていたのだけど、脳の容量は大きくならず、その後絶滅してしまった)
 

 
そう、私たちの祖先は、草原に出た進化の前夜、ハイエナ的立ち位置にいたのだ!
草原という、超不本意・かつアウェイな場所で、自分たちでは狩れない四足動物の動物の残骸をかすめとることで、大きく進化したのである!
 
そんな彼らに「君達よ、四つ足はいけない・・・」とか「自分で殺せない動物は・・・」とか言っても、「ハァ? うっせーわ! こちとら命がかかってんじゃ! ガツガツ」って感じだろうし、
 
そんなこと言ったら、そもそも自分で殺せない生き物をおもに食べているハイエナは生き物として不自然なの? と思うのだ。
 
 
進化とは競争であり、暴力と殺戮に満ちている。
いきものはなんだってやるのだ、生き残るためには。
 
その果敢な挑戦の結果が私たち現代人だ。
 
 
とはいえもちろん、ある動物の、そして人間の食性に適した食べ物、食べ方というのはあると思う。
それを理想的に近い形で実現できた風土的な環境や時代はいままでにあっただろうと思う。
 
それを自分で体現するためにまず心がけるべきことは、
何をどのぐらい、どんなふうに食べた人がどのぐらい健康だったのか調べること、
また、何をどのぐらい食べれば健康でいられるか、という自分の感覚を研ぎ澄ますことだと思うのだ。
 
日本において、それが理想にもっとも近い形で実現されていたのは昭和30年代だと思う。
栄養失調でかかりやすくなる結核が激減して、栄養過多による現代的な疾患(アレルギー含む)がまだあまり出ていない時代。ふたつの曲線の谷間。
 

 
その時代には、日本人は畜産物をそこそこ食べていた。あくまでメインではなくそこそこだけど。
だから私は、アトピー患者さんも、アトピーが改善したら、畜産物もそこそこ食べるべきだと考えている。
 
自分の体質と向き合いながら。
鶏肉も、豚肉も、もちろん牛肉だって。
 
 
・・・「じゃあどうして佐々木さんは牛肉をあんまり食べないのか」って?
 
あっ、そこにもどっちゃう?
そんなの、決まってるじゃないですか。
 
高いからだーヽ(^o^)丿!!!
 
おいしい牛肉お腹いっぱい食べたーい!
子どもたちひきつれて叙々苑行って「何でも注文しなさい」って言ってみたーい(笑)!
 
 
おあとがよろしいようで・・・<(_ _)>




関連記事

  1. 学校を休んで娘とモネの睡蓮を見に行った話。
  2. 永田良隆先生と関門トンネル(780メートル)を歩いたこと。
  3. 永田良隆先生に講義をしていただきました。
  4. 永田良隆先生にお会いしてきました。
  5. 長男の何かヘンテコな反抗期について。
  6. 子どもの読書について思うこと。(アレルギー関係なし)
  7. 経験から学ぶ、ということ。(近視の話。アレルギー関係なし)
  8. 「東大に子どもを四人いれたママ」の講演に行かなかった話。
  9. 『料理家 村上祥子 82歳、じぶん時間の楽しみ方』イラストレーターとして参加させていただきました(^^)
  10. 長女は学校を休んで遊ぶ。(アレルギー関係なし)
Top