「黒糖なら身体にいい」の落とし穴。
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
昨日、児童館で、あるママ友さんに会いました。
最近サイトを読み始めてくれ、食事を変える必要を感じたので、トライ中とのこと。
ちなみに、手作りお菓子が得意なママさん。
お子さんに毎日のようにお手製のお菓子を作っているそうですが、
砂糖の取りすぎの害の話になったとき、
「そうそう、うち、佐々木さんちの真似っこして、砂糖をやめて黒糖にしたよ!
クッキーとか、コクがあっておいしいって言われて、作る回数増えちゃった。
あと、毎日おやつにしてる! すごくおいしくて・・・」
「ちょっと待って!
それはやりすぎだと思う!」
「・・・えっ、ダメなの?
だって、黒糖って、身体にいいんじゃないの?」
こう思っている方、けっこう多いみたい。
だけど、何度でも口を酸っぱくして言いますが、
なにごともバランス。
どんなときでも、いくら食べても「身体にいい食べ物」なんて、な~い(^_^.)! んです!
■白砂糖と黒糖の違い
そもそも、砂糖はサトウキビの搾り汁からできてます。
この搾り汁から、不純物を取り除いて精製されるのが白砂糖(上白糖)。
そのまま煮詰めて作られるのが黒糖。
このため、黒糖には、白砂糖には含まれない成分が豊富に含まれています。
(詳しくは、五訂日本食品標準成分表『砂糖および甘味類』)
これらの成分には、それぞれ、整腸作用、むくみの防止、美肌効果、疲労回復・・・などの、さまざまな健康効果があります。
また、不純物が多いため、白砂糖に比べ、血糖値の上昇が緩やかだと言われています。
加えて、カロリーが、白砂糖よりちょっとだけ控えめ。
これらが、黒糖が体にいいと言われるゆえんです。
■黒くても、糖は糖
しかし、黒糖も、砂糖も、原材料は同じサトウキビ。
主成分はショ糖(スクロースともいう。糖の種類の一つ)。
ショ糖の含まれる割合はそれぞれこんな感じです。
(参考資料五訂日本食品標準成分表『砂糖および甘味類』をもとにグラフ化)
黒糖のこの20パーセントが、体にいいと言われる部分。
残りの八割は、白砂糖と同じ成分です。
そう、「白砂糖と黒糖は別物」というのは、イメージにすぎません。
確かに、ミネラルなどは豊富でしょう、砂糖に比べれば。
血糖値の上昇は緩やかでしょう、砂糖に比べれば。
ただ、だから黒糖ならいくら食べても大丈夫、にはなりません。
ちなみに、日本には、糖類のみの摂取基準はありませんが、
WHO「成人及び子どものための糖類の摂取に関するガイドライン」(2015))では、
「いろんな糖類の摂取量を、一日にとるカロリーの10%未満にした方がいいよ、
さらに5%未満にするともっと効果が高いよ」
と言ってまして、
この「いろんな糖類」には、黒糖も含まれます。
(のみならず、果汁も、はちみつも、メープルシロップも、オリゴ糖も含まれます!)
ちなみに、一日にとるカロリーの5%未満がどのぐらいか、砂糖で見て見ると、
30代女性(2000Kcal摂取)ならこれ未満(25g)、
5歳の男の子(1300Kcal摂取)ならこれ未満(16.3g)、
黒糖なら、白砂糖よりもわずかにカロリーが低いので、
これプラス、角砂糖半分~一個ぐらい、余計にとることができますね。
・・・あんまり変わらないでしょう?
しかもこの量は、おやつだけでなく、三度の食事でとる、加工食品や、使う調味料に含まれる糖分も含めて、です。
おやつに黒糖をそのままかじるためには、普段の食事をそうとう工夫しなければならないことが、お分かりいただけるでしょうか。
■「〇〇の代わりに、~なら大丈夫!」に要注意
「白砂糖は摂りすぎると体に悪い。
だから、身体にいい黒糖に切り替えよう!」
この考え方は、危ないです。
白砂糖があなたの心身に悪さをしているとしたら、それは白砂糖の仕業ではありません。
白砂糖を摂りすぎているあなたの仕業なんです。
そこを改めず、摂りすぎている砂糖をそのまま黒糖に切り替えても、あまり効果はないでしょう。
むしろ、「黒糖だから大丈夫」という油断から、黒糖をさらに摂りすぎることになり、ショ糖の摂取量が結果的に増え、問題が大きくなる、ことだって十分に考えられます。
「毎日黒糖をひとかけ食べる」という健康法も、私はどうかと思います。
私たち現代人の多くは、すでに糖分の取りすぎの傾向があります。
確かに黒糖には健康効果がありますが、たくさんのショ糖をとるリスクと引き換えにするほどとは思えません。
ビタミンも、ミネラルも、カルシウムも、黒糖以外にも含まれています。
「でもでも、黒糖の袋に書いてあったよ、
『一日ひとかけ食べなさい』って。
『沖縄の人は昔からよく黒糖をぼりぼりかじってた、だから健康だった』って!」
そうかもしれません。
ただ、その情報は断片的すぎます。
沖縄の人は昔からよく黒糖をぼりぼりかじってた、・・・は事実だとしても、
彼らがどんな気候の中に生きていたのか、
食事はどんなものだったか、
仕事量や運動量はどの程度だったか、etc.etc.・・・、
その辺を確かめず、「黒糖をぼりぼり=健康」ととらえるのは物事を都合よく解釈しすぎです。
少なくとも昔の沖縄の人は、
今の私たちのように、こんなエアコンの効いたこんな部屋でまったりしていたわけではないはず(^_^.)。
白砂糖の害が気になるのなら、まず、白砂糖の使用量を減らすこと。
それが何よりも大切です。
そのあとで、それを黒糖に切り替える・・・なら、とても意義深いことだと思います。
ちなみに我が家は、三年前から黒糖を使っていますが、
使う日で、大匙一杯。少ない時はティースプーン一杯。
黒糖の壺を開けない日も、ざらにありますよ。