粉ミルクの発がん性が気になるママへ。その1
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
さて、前回、パーム油の危険性について書いたところ、数人のママさんにこんなことを聞かれました、
「粉ミルクにパーム油が入ってます。
パーム油には発がん性があるということですか、大丈夫なんでしょうか。」
不安にしてしまってスミマセン!
責任とって調べます!
粉ミルクの発がん性について不安のあるママさん、読んでくださいませ。
■粉ミルク中の3-MCPDは国際的に問題視されています。
3-MCPDは、ヒトに対して発がん性が疑われる物質です。
植物油の精製の過程で発生し、特にパーム油に含有量が高いです。
ふつう、粉ミルクには植物油が使われているので、3-MCPDを含んでいます。
で、2007年、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が、
ことを公表しました。
以降、このことは国際的に問題視されているようです。
では、日本ではどうなのか?
そんなママさんたちの心配に、厚生労働省が答えています、
(厚生労働省HP 粉ミルクについてのQ&A)
つまり、
①日本の粉ミルクには、比較的、含有量が少ないから大丈夫そう
②今まで、それで発病した、っていう報告がないから大丈夫そう
ってこと。
・・・うーん、
ちょっと漠然としてるなあ~。
諸外国と比べて低いと言っても、どのぐらい低いかわからないし。
ちなみに、ある物質の発がん性について考えるとき、数値を知る、というのはすごく大切です。
「長い間、毎日取っても、まず害がない量(耐容一日摂取量)」を守っていれば、まず健康被害はないのですから。
(逆に、一番よくないのが、「発がん物質! ギャー」となったり、
粉ミルクを恐れるあまり、無理をして離乳食を進めたりすることだと思います。)
だから、大切なのは、
日本で一般的な粉ミルクを飲む赤ちゃんが、どのくらい3-MCPDをとることになるのか、
それが「耐容一日摂取量」に対してどのぐらいか、っていうデータ!
しかーし! それがどこにも載ってない!
ってことで、ちょっと数値を出してみることにしました。
■日本の「調製粉乳」の3-MCPD含有量。
まず、農林水産省の調査っていうのはおそらくこれ、
(平成26年12月17日 農林水産省消費・安全局『食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査の結果について 平成24、25年度 詳細版』)
3-MCPD含有量について、8種類の粉ミルクが調査されてますね。
さて、「粉ミルクだけ飲んでる乳児」ですが、
ふつう離乳食が始まっていない時期と考えて、生後三か月ぐらいとします。
じゃあ、体重は6㎏ぐらい。
となると、一日に1000mlぐらいのミルクを飲む。
ってことは、一日に130gぐらいの粉ミルクを使うってこと。
ちなみに、3-MCPDの「長い間、毎日取っても、まず害がない量(耐容一日摂取量)」は、
体重一キロにつき0.002mgだから、
体重6キロの赤ちゃんは、
長い間、毎日3-MCPDを0.012mg取っても、まず害がない!!
数値が出そろった!
計算開始!
チャカチャカチャカ・・・・
(音がアナログ(笑))
じゃーん! 出ました!
まず、
一番多く3-MCPDが入ったミルクを飲んでいる場合、
6キロの乳児が、1日にとる3-MCPDの量は・・・
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
0.0767mg!!(耐容一日摂取量0.012mg)
多っ!
耐容一日摂取量を大幅にオーバーしています!
うーん、30倍とはいかないまでも、6倍以上。
これはちょっと不安になってしまいますね。
さて、一方、
3-MCPDが一番少ないミルクを飲んでいる場合、
6キロの乳児が、1日にとる3-MCPDの量は・・・
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
0.013mg!!(耐容一日摂取量0.012mg)
ああっ! 耐容一日摂取量をわずかにオーバー!
小食な赤ちゃんは、耐容一日摂取量内に収まるかも・・・って感じですね。
惜しい! 非常に惜しい!
■残念な結果ですが・・・
・・・ということで、残念ながら、
「日本の完全ミルクで育つ赤ちゃんも、3-MCPDを耐容一日摂取量以上に摂りすぎる可能性が高い」
という結果になってしまいました。
とはいえ、ドイツの報告にある、「30倍」には遠いですね。
それに、各メーカーが3-MCPD低減の取り組みをしているそうなので、含有量は低減傾向にはあるはずです。
あとですね、
耐容一日摂取量を超えたからと言って、すぐに赤ちゃんが発がんする、というものではありません。
というのは、
耐容一日摂取量は動物実験から得られたデータを基に設定されているのですが、
それを人間のケースに適用するにあたって、いろいろな未確定の要素があるってことで、かなり用心深く設定されているからです。
そして、救いは、
「含有量の低いものを選べば、耐容一日摂取量にどーにか収まる可能性がありそう!」
ってこと、
つまり、無害とされる量に手が届きそうだってことです!
●その2に続く