この子、小食で・・・、に要注意!
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〇ジュースの害について
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さて、それでは、
甘い飲み物をとりすぎると子供はどうなっちゃうのか、解説します!
甘い飲み物の注意点はいくつもありますが、今日は、
「食べる前に甘い飲み物を飲ませると、ご飯を食べなくなる」って話です。
そのためには、まず、血糖値の話をしなきゃいけません。
■血糖値って?
血糖値って、糖尿病の人が気にするやつでしょ?
私たち、フツーの人間には関係ないんじゃないの?
確かにそんなイメージがありますが、まあ、聞いてください。
まず質問です。
あなたが、どこかで道に迷って、何日も歩き回ったとします。腹ペコです。
やっと助けられたとき、目の前に次の三つがあったら、どれを食べますか?
①おにぎり
②牛ステーキ
③野菜サラダ
・・・いいですか?
きまりましたか?
あなたは本能的に、①おにぎりを選んだはずです。
なぜなら、おにぎりは糖質。
食べると、速やかにエネルギーになってくれるからです。
糖質は、身体を車だとすると、ガソリンに当たる食べ物。
家庭科でも、習いましたよね、こういうの。
さて、糖質を食べると、胃腸から吸収された糖が、血管に吸収され、身体のすみずみへと運ばれます。
この「糖(エネルギーの源)が血管に乗って旅を始めた」とき、血液中の糖分の濃度が上がります。
これを「血糖値が上がった」というんです。
エネルギーの源が体に行き渡りつつあるぞ、ってことですね。
とはいえ、今からそう遠くない昔、人間はいつも飢えていました。
また、自然界の食べ物は、そんなに甘くありませんでした。
たとえば、お米だって、真白くは精米できなかったので、
糖質を摂ろうとしてお米を食べると、ぬか部分のタンパク質などの栄養素もついでにとらざるをえませんでした。
そうやっていろんなものをむさぼりながら、なんとか糖を摂り、血糖値をあげようとしていたわけです。
ですから、血糖値の上下は、長い間、比較的ゆるやかなものでした。
■砂糖という魔物
しかし近代に入り、人間は、食べ物の「甘さ」をどんどん強くしていきました。
果物は品種改良され、それまでと比べ物にならないほど甘くなったし、
穀物は精白され、糖質がむき出しになりました。
そして、その最たる食品が、精白された白砂糖です。
砂糖!
それは、甘いだけで、それ以外の栄養素をいっさい含まない食べ物!
これが体に入ると、純度が高いので、あっという間に吸収されます。
そして、あっというまに血液に乗って、血糖値が跳ね上がります。
その報告を受けて、脳はあわててこう宣言します、
「うわあ、ストップ! ストップ!
エネルギーはもう十分だから、これ以上食べるな!」
そして、食欲は止まってしまいます。
これは、いわば脳の勘違いです。
でも、無理はありませんよね。
だって、長い間、体がエネルギー(糖)に満ちること=いろんな栄養がそれなりに取り込まれたこと、だったんですから。
・・・ちょっと、待った!
そうは言っても、胃に食べ物が入ってないのに、おなか一杯になるわけないじゃない!
そう思いますよね。
しかし実は、私たちに満腹感や空腹感を感じさせているのは、胃よりも、脳なんです。
そして、その脳の判断を左右しているのが血糖値です。
ご先祖様が求めてやまなかった糖質。
それに今、わたしたちは囲まれています。
そして糖質は、特に砂糖は、私たちの正常な食欲をかきけす、こわーい魔物になってしまったのです!
■ちゃんと食べなさい? ・・・それは無理!
では、ファミレスに来て、料理を待っている子供に、まず甘い飲み物を飲ませたら、どうなるか。
(ちなみに飲み物は、固形物より、消化吸収が早いです。)
料理が来るころには、お子さんの血糖値はすっかり上がっていて、食べ物への興味をうしなっているわけです。
お母さんの「ちゃんと食べなさい」は、むなしく響くことになります。
私が目にしたAちゃんも、パスタを何口か食べただけで、食事をやめてしまいました。
しかしママさんは、ママ友に向かってこう言いました、
「A、小食なんだよね。だから野菜ジュース飲ませておけばと思って」
いやいやいや、ママさん、逆、逆!!
ジュース飲ませてるから小食なんですよ、血糖値あがっちゃってるから!
そう言いたかった。
しかし、
見回してみると、このAちゃんと同じような境遇のお子さんの、なんと多いことか。
そして、思い返せば、「うちの子、小食で」と苦笑するママさんに、なんとよく会うことか。
ということで、
お子さんに食事前に甘い飲み物を与えているママさん、
ぜひ、次の食事から、それをお茶か水に変えましょう。
砂糖の魔法が解けたとき、残っているのが栄養失調のお子さんだなんて、悪夢です。
お子さんに、健全な食欲を取り戻してあげてください。
さて、甘い飲み物の飲み過ぎの悪影響は、「食欲がなくなる」だけではありません。
子供たちの体内では、もっと怖いことが、さらに起きているんです!