カレーで母乳は変わるか。その5(終)
カレーで母乳は変わるか。その1
カレーで母乳は変わるか。その2
カレーで母乳は変わるか。その3
カレーで母乳は変わるか。その4
カレーで母乳は変わるか。その5
注)今回は、前回紹介した論文の見解とは別視点の、当サイトの見解として書いています。
■油、そんなに多くなくない?
さて、カレー実験で、母乳のにおいがほとんど変わらなかったママ。
彼女の、普段のゴハンにおける油の使用割合はこんな感じ(イメージ)。
(写真は借り物です)
・・・え、油、そんなに多くなくない?
と、思いますよね。
・・・ってゆーか、この写真給食でしょ?
つまりちゃんとした献立ってことじゃないの?
と、思いますよね。
その通りです。
このママさんは、食事からとるカロリーの28.5%を、油からとっていた(脂質エネルギー比28.5%、と表現します)のですが、
実は、国が定めた栄養学的な基準だと、この年代の女性の脂質エネルギー比の目標量は、20-30%。
つまり、このママさんの油の使用量は、しっかり基準値内です。
(日本人の食事摂取基準 2015。
妊婦、授乳婦は、通常時の目標量を参考にして適度な摂取が大切、とのこと)
ちなみに、私たちがお世話になる、給食、社食、病院食。
そういったごはんも、この基準を実践する栄養士さんによって、作られています。
そして現在、このような油の割合の献立は、見慣れたものになりつつありますね。
しかし実は、
この基準では、人間の健康を守るためには油が多すぎることが明らかになってきたのです。
■アレルギーと油。
みなさん、「身体にやさしい植物油」ってフレーズ、どう感じますか?
抵抗、感じないでしょ?
それは、ちょっと前まで、油(植物油)は、たくさん摂るように勧められていたからです。
そのほうが体にいいといわれていたんですね。
けれど、研究が進むにつれて、それは間違いだったことが分かってきました。
しかも、油を摂りすぎると、いろんな病気になるリスクをあげることが分かってきたのです。
●油についてのおもな参考文献はこちら
先ほどの油の摂取量の目安は、その時代に決められたものから、いまも十分に改定されていません。
(拙著『アトピーが消えちゃった! マンガでわかる体質改善』より)
そして、植物油の摂り過ぎと、特に密接に関係している疾患が、アレルギー疾患。
アトピー、花粉症、食物アレルギーなどですね。
それは、植物油の主成分であるリノール酸のせい。
リノール酸は、身体の「敵を攻撃する力」を過剰にしてしまうのです。
その結果、身体のあちこちで、さまざまなアレルギー症状がでやすくなるのです。
●アレルギーの原因と改善法はこちら
■母乳はアトピーの原因になるか。
話を母乳に戻しましょう。
ママが油のとりすぎだとして、
問題は、その油が、母乳を通して、乳児のアレルギーの発症に影響するか、どうかです。
当サイトは、影響すると考えています。
それは、日本で一番たくさんのアレルギー患者を治した小児科医、永田良隆先生が、ご自身のご経験を通して、そう言ってらっしゃるから。
そして、永田先生の勧める食事療法で、母乳を通して乳児のアトピーを治した例を、私も含め、実際に何件か見たからです。
●永田先生の臨床例はこちら
●永田先生の本はこちら
・・・というわけで、
当サイトとしては、授乳中のママさんには、油少な目の和食をお勧めします。
今回紹介した、カレーの実験を振り返ると、
カレーを食べると母乳のにおいがかわる、ぐらいの食生活が、アレルギー予防という観点から見ても、適当ではないかと考えます。
そしてたまには、「実験してみよう!」ぐらいの気持ちで、カレーを食べてみたらどうでしょう(笑)。
・・・カレーを食べる口実? 違う違う、
何事も実験、実験!
冗談はさておき、
ママさん、今日もほんとに、おつかれさまです。
●おまけ タイカレー食べて授乳してみた。を読む