子どものアトピーの原因を探る、ということ。(Mさん)
アトピーのもっとも大きな原因は食事です。
アトピーの症状を引き起こしているのは、まずは油。
ですから、アトピーを治すためには、これを一定期間、可能な限り絶ちます。
人によっては畜産物、さらに米を絶つ必要があることもあります。
この療法の完治率は約八割。
その理論と実践ノウハウをマンガでまとめたのが↓本書。
油、畜産物、米を一定期間制限することは、多くのアトピー患者さんに有効でしょう。
しかし実は、米を絶つ段階にまで進んでも、うまく症状が収まりきらない、難治タイプもあります。
アトピーの本を出版してから、そういうタイプの方から、ちらほらと相談をいただくようになりました。
■Мさんの場合。
「1歳の娘が、1ヶ月の時から湿疹があり、なかなか完治しません。」
サイトの問い合わせフォームから、連絡を下さったМさん。
関東にお住い。一歳五か月の娘、Hちゃんがアトピーです。
(写真は取り組み四日目の様子。これら以外の箇所にも症状が出ていました)
授乳中とのことで、ママのおっぱいも原因のひとつである可能性がありました。
ですから、親子で食事療法に取り組むことをお勧めしました。
最初は私がアドバイスしていましたが、難治タイプと判断したので、伊藤龍一さんにお願いしました。
さて、難治タイプの場合。
まず、畜産物、米以外に、その人の症状を起こしている何らかの食品がある、と仮定します。
その心当たりの食品を絶ってみて、症状がどうなるか、様子を見るわけですね。
この過程には、けっこうな精神力が必要です。
ある食品を犯人と仮定して、実験して、観察して、記録して、考察する。そのくりかえし。
制限が増えるので、メニューを考えるのも大変です。
患者がお子さんだと、栄養面にも配慮しなければなりません。
一念発起したMさんは、 「アトピー治療日記」というブログを作り、取り組み内容のアップをはじめました。
そして伊藤さんが、定期的にスカイプでコーチングしたり、ブログのコメント欄にアドバイスを書き込んだりしてそれをサポート。
(伊藤さんのアドバイスがものすごくためになります。同じ悩みをお持ちの方は是非読んでください!)
しばらくすると、箇所によっては、取り組みの効果が表れてきました。
(取り組み26日目の脚の様子)
しかし、うまくいかなかったり、思うように治らない箇所もありました。
それらの症状の原因となっている食材の特定が、なかなかうまくいきません。
そろそろひと月になろうとするころ、Мさんは行き詰まりを感じているようでした。
私はブログを読みながら、Mさんが落ち込みや、焦燥感や、不安を感じているのではないかと心配になりました。
かつて、私も同じような経験をしたので、Мさんの気持ちはよくわかりました。
■子供の食事を変えることのむずかしさ。
そこで、強引にこうお誘いしました。
「Mさん、よかったら女子会しましょう!
あれこれおしゃべりしたら、ちょっとすっきりするかも!」
すると、Mさんは、一時間以上かけて会いに来てくださいました!
お会いしたМさんは、やっぱりだいぶ辛そうでした。
そして、お話ししてはじめて、Мさんの置かれている状況の大変さがわかってきました。
もともと、かなり心配性であること。
第一子で、それが割り増しされていること。
大好きなスイーツ絶ちがつらいこと。
ご主人が激務で、話がほとんどできないこと。
専業主婦で、一日、娘さんと向き合わざるを得ないこと。
もともと、料理が好きじゃないこと。
その他、いろんなこと。
・・・これは、思いつめても無理はない!
けれど、これはМさんだけの話ではありません。
たとえ自分の子供であっても、子供って、親だけと関わっているわけじゃない。
だから、子供の食事を変えるということは、どうしても周囲との調和を崩しやすいのです。
たとえば、同居のお姑さんも台所に立ってて言いにくい、とか。
家族が食事療法に反対している、とか。
仕事してるから子供を預けがちだけど、預け先に理解してもらえない、とか。
子どもの友達との食事やおやつに同席しにくい、とか。
子供の食事を、一時期とはいえ、ストイックに制限すること。
そのためには、ママにかなりの覚悟と頑張りが必要です。
下手をすると、ママは周囲から非難され、孤立してしまうこともあるでしょう。
・・・それでも、頑張って子供のアトピーを治すんだ!
そんな頑張り屋さんほど、追い詰められてしまうのかもしれません。
■完治だけが「成功」じゃない!
私は結局、Мさんにこんなことを言いました。
「完治しないから失敗だ、なんてことはないですよ!
食事に気づかないでいたころからすれば、ものすごい進歩です!
ここまでやったМさんはすごいです!
今のままで、十分よくなっていると考えることにしましょう。
制限をゆるめて、Hちゃんとの毎日を楽しんだほうがいいですよ!」
そんなことを言いながら、ほんとにそうだなあと改めて思ったのでした。
ちなみに、伊藤さんはメールで、こんな言葉をМさんに送りました、
「(娘さん)ご本人自身が、本当に「キレイになりたい」と自ら強く思ったその時、これまでMさんが書き残された記録やご体験、そしてMさんの想いが、必ず娘さんの力となるはずです。
娘さんが十分に大人になった時、ご本人が自分自分でいろいろな食材を選び、試すようになります。
私たちが外から観察して分かるほんの僅かな情報よりももっと貴重な「体の内側から感じる痒み・体の変化」などを基に、ご本人自身が自分で自分の体を治していくでしょう。
だから、アトピーについてはもう、あまり心配しなくても大丈夫です。
娘さんが大きくなるのを待ちましょう。」
(娘のHちゃん。お見せできないのが本当に残念です! 超~かわいいんですもの(*^■^*))
そうなんですよね。
お母さん一人が、何もかもしょい込まなくても大丈夫なんです。
なにごとも、バランスが大切。
とくに、子供のアトピーに向き合う場合には。
アトピーを治すために、子供との幸せな「いま」が犠牲になっては本末転倒です。
アトピーに悩む方との関わり合いの中で、こうして学ばせていただくこと、本当に多いです。
Мさん、本当にありがとうございました。
Мさんはその後、目標を「現状維持」に切り替え、食の制限をゆるめました。
そして、「娘との毎日が楽しくなった」と話してくれました。
私たちもホッとしております。
Mさん、これからも陰ながら応援していますよ~(^^)(^^)
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