「オリーブオイルはヘルシー」の落とし穴

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2017年2月10日 金曜日

「オリーブオイルはヘルシー」の落とし穴

最近、油について書かれたものを見かけることが多くなりました。
油と健康の関係が、注目され始めたようで、喜ばしいことです!
 
ただ、気になるのは、
そのほとんどが、結局「だから〇〇油を摂ろう」と勧めちゃうこと。
 
まあ、そりゃみんな商売してるんだから、しかたないんだけど。
 
でもね、
何度でも、声を大にして言いたいけれど、
油と健康を語る上で、まずしなきゃならないことは、
 
リノール酸の摂取量をとにかく減らすことです!
 
それをおざなりにして、「ヘルシーな油」を取り始めたら、
結局、リノール酸摂取量は増えていっちゃう。
 
なんて言ってるとこんな声が聞こえてきそう、
「でも、オリーブオイルはオレイン酸の油だから、関係ないでしょう」
 
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(株式会社ブオーノイタリアHPより転載)
 
いいえ、
それは誤解です。
 
 
■警戒されない油、オリーブオイル
みなさん、イタメシって覚えてますか? 
若いママさんたち、炒飯のことじゃないんだよ~(笑)
 
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(イタリア料理レシピ おいしい! ヘルシー! イタリアン!より転載)
 
バブル期に青春を過ごした世代なら知っている、イタメシ。
そう、オリーブオイルは、本格的なエスニック料理とともに、日本に入ってきました。
(それまでは『洋食』しかなかったんですよ。サイゼすらなかったし)
 
洋食ではなくイタリアン
スパゲッティじゃなく、パスタ
ピザじゃなく、ピッツァ
 
そして、サラダ油じゃなく、オリーブオイル
 
とにかく、オリーブオイルは、おしゃれなものの代名詞だった。
 
油は「フライパンにひく」ものだったのに、「あえて、かける」という斬新さ。
 
なんだか黒いシックな瓶に入ってて、気をつけないと酸化しちゃうというデリケートさ。
(実はこれ、どんな油でも本来はそうなんですが(笑))
 
しかも、この油、「オレイン酸」っていう特別な成分でできてるらしい。
このオレイン酸は、コレステロールを低下させたり、
がんや生活習慣病などを予防したり、
腸に刺激を与えて便秘を解消してくれたりする、優れものらしい!
 
この油、なんか違う。
まるで油じゃないみたい。
なんかものすごく素敵。

 
使えば使うほど、いいことがありそう!
 
そんなイメージで宣伝され、地中海食への憧れとともに、今でも使われ続けているといってよいでしょう。
 
 
■リノール酸、入ってます
さて、オリーブオイルの広告は、だいたいこんなカンジです。
 
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(すこやか工房HPより転載)
 
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(エルセレブHPより転載)
 
確かにそうだと思います。
だけど、こういう表現だと、まるでオリーブオイルはオレイン酸(オメガ9)のかたまりみたい。
 
でも、実はこんな感じです。
 
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(作画/佐々木 日本食品成分表2015年版(七訂)をもとに計算)

 
リノール酸はちゃんと入ってます。
比較的、少ないけれど。
 
メーカーや産地などによって差があるとしても、サラダ油の四~五分の一ぐらいと思ってください。
 
つまり、オリーブオイルでも、使いすぎれば、リノール酸を取りすぎることになります。
そして、オリーブオイルほど、使いすぎている人が多い油はないでしょう。

 
私はママさんたちと関わる中で、それを強く感じるようになりました。
だから、オリーブオイルについて伝えるときは、注意点もしっかり伝えていたつもりでしたが、
ちょっと時間がたつと、
オリーブオイルだったら量は気にしなくていい・・・んでしたよね」
揚げ物もオリーブオイルなら・・・ですよね」
と言われ、あわてることがしばしばでした。
 
でも、そりゃそうですよね。
いちいち詳しいことは覚えていられない。
人間は、ざっくりしたイメージでものごとを見て生きているんですから。
 
オリーブオイルは、日本においては、「ヘルシー」というイメージと強く結びついてしまっています。
摂ればとるほどヘルシーだとか、毎日飲んだほうがいいという人すらいます。
その多少は、も〇みち君の責任でしょう(笑)
 
 
■「普段使いの油」について思うこと
では、普段使いの油に、オリーブオイルは向かないのか。
 
最近は、そう聞かれたときは、
「・・・というよりも、油は普段使わないことをお勧めします。
煮る、蒸す、焼くなど、和食の調理がいいですよ

と答えるようにしています。
 
「ええっ、でも、オリーブオイルをたっぷり使えなくなったら毎日の料理ができない!」
あなたがそう思うなら、その食習慣をこそ、まず見直してみたほうがよいでしょう。
 
「だって、オリーブオイルのオレイン酸は、動脈硬化を和らげて、生活習慣病を改善して・・・」と思いますか?
 
でもね、そもそも、オレイン酸は体内で合成できるんですよ。
(広告にはあんまり書いてありませんが。)
がんばってとる必要はないんです。
 
それに、昭和30年代の日本には、動脈硬化も、生活習慣病もほとんどなかったんです。
もちろん、オリーブオイルはまだ輸入されていませんでした。
 
食事全体のバランスをうしない、不調を抱えてしまった日本人の体。
そこに、更に毎日地中海の油を注ぎ込むよりも、
ちょっと昔の日本人に倣う方が、私たちは心身ともにラクなんじゃないでしょうか。
 
もちろん、オリーブオイルは健康効果があるでしょう。
香りがよくて、私も大好きです。
 
だから、ぜひぜひ、楽しみましょう。
日本人として、節度を持って。




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