日本のお産の安全度は、世界トップレベルです。~自然出産のリスク その2~
●自然出産できる人の条件。~自然出産のリスク その1~を読む
■1950年のお産(自宅出産)の危険性
さて、お産の安全性の移り変わりは、次のグラフを見ればわかります。
ほとんどの日本人が自宅出産をしていた、戦後の1950年のデータを見てみましょう。
・妊産婦死亡率 161.2 (産後42日以内のママさん10万人のうち、161.2人が死亡)
・周産期死亡率 46.6 (22週以降~生まれて一週間未満の赤ちゃん千人のうち、46.6人が死亡)
・新生児死亡率 27.4 (新生児千人のうち、27.4人が死亡)
これはつまり、22週以降~生まれて一週間未満の赤ちゃんが21.4人に1人亡くなったってこと。
新生児が36.4人に1人亡くなったことと合わせると、周りに赤ちゃんを亡くした人がちらほらいる、って確率ですね。
うわあ、戦後のお産、けっこう危険。
(ちなみに調べてみると、それ以前の方がさらに危険。)
そうか、「昔はみんな、自宅で産むのが当たり前だった」っていうのは、
「で、ある程度死ぬのも当たり前だった」って文章が続くんだなあ・・・。
■現在のお産(病院での出産)の危険性
さて、この、先進国としては低くはない数値が、高度経済成長期に入ったあたりから、ぐいーんと下降。
日本の「妊娠と出産の安全」のレベルは、
〇母子のための法律の整備、
〇母子手帳の普及、
〇基本的な栄養状態、衛生面の改善、
〇医療技術、診断技術の向上、
〇周産期医療体制の整備、
・・・などのさまざまな体制の向上によって、病院に場所をうつし、世界に類を見ない速さで上昇していきます。
これらの数値が近年、どうなっているかというと、
・妊産婦死亡率(2013) 3.5 (産後42日以内のママさん10万人のうち、3.5人が死亡)
・周産期死亡率(2014) 3.7 (22週以降~生まれて一週間未満の赤ちゃん千人のうち、3.7人が死亡)
・新生児死亡率(2014) 1 (新生児千人のうち、1人が死亡)
(こちらのサイト「LOVE & LIFE STATION 」の「妊産婦死亡率の推移」が視覚的にとってもわかりやすいです(^^))
妊娠やお産が原因で亡くなってしまうママは、1950年代の40分の1まで減少!
そしていまや、新生児死亡率の低さは、世界一。
(ちなみにこの年は、日本を含め、フィンランド、アイルランドなど、6か国が同率一位)
日本の産科医療のレベルは、現在、世界トップレベル。
約四半世紀で、日本は世界で最も安全にお産ができる国として発展したのです。
これと同じレベルの改革が、とにかくいろんな領域で進められた激動の時代、それが日本の高度経済成長期。
うーむ、改めて、ものすごい時代だなあ。
自然出産系の本の中には、自宅出産を、「贅沢な」お産と表現した本もおおくありますが、
発展途上国の妊婦さんから見れば、日本の病院でのお産は、この上ない贅沢ではないでしょうか。
■現在の自宅出産の危険性
さて、ここまでは、自宅から病院にうつった、多くのお産のデータを見てきました。
それでは、方や、現代の助産院が扱う出産の危険度はどのぐらいなのでしょうか。
助産院の体制も近代化していますから、安全レベルも上がっているはずです。
しかし、残念ながら、全国的なデータがとられていないもよう!
そう、日本の自宅出産の安全性は、データ上ではわかってないのです。
ただ、それを考えるに当たり、海外のデータが非常に参考になるわけで・・・。
長くなっちゃったので、また次回!