ニシンそばの誘惑。
■ニシン=地味!
みなさん、最近、お魚食べてますか?
このサイトを読んでくださっている方なら、魚中心の和食を心がけてくれているかも。
いまなら秋刀魚とか、鮭なんか、安くておいしいですよね。
でも、今日は敢えて、ニシンの話をしたいわけです(゜o゜)!
・・・ニシンって、召し上がりますか?
と言って、ぱっと魚の姿が浮かぶ方は少ないかも。
(参考までに、こんなお姿。HP「旬の魚を食べよう」さんから転載)
だって、ニシンといえば、まずはおせちの昆布巻きの中身。
あとは、魚売り場の端っこの方に、身欠きにしん、という地味~な加工品がある。
(おだし屋さんの昆布巻きと、相本水産さんの身欠きにしん)
どっちも、あんまり普段食べない。
たま~に、鮮魚として売っているのを見るけど、どうやって食べたらいいのやら。
一度煮付けてみたら、なんだか癖があって、苦くて、それきり。
そうそう、そういえば、お蕎麦屋さんでニシンそばってお品書きを見かけるっけ。
(自由が丘「ふじ家」さんのお品書き)
だけど正直、興味をひかれたことはない・・・。
ニシンの存在感って、おおかた、そんなものではないでしょうか。
■アトピーの本で「ニシンそば」を勧めたい!
実は私にとっても、ニシンは縁遠い魚でした。
(「身欠き」にしんを、「磨き」にしんだと思っていたレベル。だってなんだかぴかぴかしていたし)
しかし、子供のアレルギーのために食を改め、魚の缶詰を利用するようになったとき。
ちょうしたさんの「とろにしん蒲焼」!
これの美味しさに驚き、すっかりはまってしまったのです(*^_^*)
ニシンの煮つけって、身欠きにしんを長時間煮て作るらしく、ご家庭で作るにはちょっと大変。
だんぜん缶詰をお勧めします!
しっかり煮付けたニシンは、うまみが凝縮していて、とっても美味しい。
独特の癖や苦みがあるけど、慣れると病み付きになる方も多いはず。
ちなみに、残り汁で茄子なんかを煮付けてもおいしい!
さて、そうなると、今まで気にも留めなかった「にしんそば」が、俄然、気になってくる。
(「松葉本店」さんのにしんそば)
確かに、天ぷらそばなどの花形選手に比べると、色合い的にも花がない、ニシンそば。
だけどきっと、根強いファンのおかげでその命脈を保っているに違いない。
しかも、お蕎麦屋さんで魚介と言えば、エビ天、イカ天、キス天・・・てんぷら尽くし。
魚介入りでノンオイルのそばは、ニシンそばだけじゃないか!
しかもしかもニシンって、調べてみると、カルシウムや鉄分がたっぷり。
そのうえ、美肌効果高いEPAが、びっくりするほど豊富です!
(1.975(mg/100g)! イワシ 1.381(mg/100g)以上!)
よし! これは是非、今度出版する本のメニュー例に入れよう!
そう思い立って、近所のお蕎麦屋さんに行ったわけですが・・・。
■「ニシンそば、やってません」
しかし、そのお店には、ニシンそばがありませんでした。
ちょっと離れた店に足を運んでみましたが、そこにもありません。
おや? と思い、近隣の蕎麦屋さんに電話をかけて調べてみました。
すると、なんと、五軒、すべてに置いてないというではありませんか!
・・・じゃあ私はどこで、ニシンそばの存在を知ったのか?
よく覚えていない。だって、気に留めたことなかったんだもの(゜o゜)!
そして、五件目のおやじさんが言うことには
「ありませんねえ。あれは関西のもんだから。」
「関西? そうなんですかー」
「京都の名物ですよ」
・・・京都~!
(↑イメージカット。笑)
いやー、知りませんでした。
ニシンそば、地味だけど、そう聞くとなんか高貴な感じがしてきます(笑)
・・・しかし、なぜ京都でニシンそば?
ニシンと言えば北海道とか、北欧のお魚。
温暖な陸の京都とは、あんまり結びつかなそうなイメージですよね。
そこで、ちょっと調べてみました。
面白かったので、お付き合いください!(笑)
■ニシン豆知識
北海道でのニシン漁は、江戸時代からおこなわれていました。
もっとも大規模になったのは大正時代から。
当時のにしんの水揚げ量は、現在とは比較にならない、ものすごいものだったようです。
さて、当時、ニシンといえば、まず重宝されたのはニシン粕でした。
ニシン粕とは、ニシンのおなか部分で作った、肥料のこと。
ニシンは油分豊富な魚で、特におなか部分には、畑を肥えさせる栄養が詰まっていたんですね。
それらは主に西日本に運ばれ、日本の農業の拡大期を、下から支えました。
では、おなか以外はどうなっていたか?
もちろん、食用として身欠きにしんや数の子に加工され、にしん粕と一緒に西日本に送られていました。
(ちなみに、おなかを取った後、身が欠けているから「身欠き」ニシンなんですねー)
そんなわけで、西日本には身欠きにしんがたっぷりあったわけです。
それを美味しく食べようと、昆布巻きや、にしんそばと言ったメニューが生まれたわけですね。
ちなみに、このニシンですが、昭和30年ぐらいから、なぜか急に捕れなくなっちゃったそうです。
現在では「ニシンよもう一度!」と、ニシン放流事業を行っている、とのこと。
■ニシンそば、発見!
さて、いろいろ知ってますます食べたくなったニシンそば。
そして六軒目に当たったお蕎麦屋さんで、ついに「はい、ございます」というお返事!
新板橋の浅野屋さん。
さっそく行ってきました!
ニシンそばと言えば、にしん・そば・葱のみ、っていうシンプルなものが多い中、
こちらのニシンそばはなんだかおしゃれ(*^_^*)
本用の撮影を済ませてから、いただきました。
お味はというと、とっても美味しかったです!
よーく味が染みたにしんは、うまみのかたまり。
一方、おそばは非常にあっさり。
見た目はしょっぱそうなつゆは、意外としょっぱくない!
にしんをかじっては、お蕎麦をすすり、またニシンをかじる。
うーん、これは幸せな体験でした!
確かに地味だけど、四十路になって初めてわかった、ニシンそばの深み・・・(笑)
これからは、蕎麦屋でまずニシンそばを探してしまうかも。
みなさんもニシンそばを見かけたら、ぜひぜひご賞味くださいませ!
↑またご相伴にあずかった子供たち。
娘は蕎麦屋でもきつねうどん一択ですが、
息子は鴨南蛮がお気に入り。
食後に自ら蕎麦湯を注文するおませです(笑)
そんなわけで最後の写真撮影も済み、『アトピーが消えちゃった! マンガでわかる体質改善』の原稿は描きあがりました。
ただ今、協力者の方が誤字脱字を探してくださっています! 感謝感謝!