卵かけごはんに要注意!
■「朝ごはん、和食にしましたよ!」
先日、公園で、以前花粉症のセミナーに来てくれたママさんとばったり。
花粉症がよくなったと喜んでらっしゃいました。
ただ、娘さんのアトピーがまだ出ているとのこと。
ママさん「和食にしてるんですけどねー。油も控えてるし、朝もパンやめたし・・・」
佐々木「そうなんですか。頑張ってらっしゃるんですね。朝はおにぎりとか?」
マ「いえ、卵かけごはんです。子供もささっと食べられて、栄養も取れるので」
・・・オーマイガッ!
佐「確かに、そうなんですが・・・、
卵かけごはんは、残念ながら、アトピーの方にはお勧めできないものなんです・・・」
マ「ええっ、なんでですか!」
実はこれと同じこと、今までに何度かありました。
それは、ですね・・・。
■アトピーと卵の関係
卵が栄養豊富な食べ物であることは、誰もが知っている事実です。
しかし、それとは別の問題として、卵は、以下のような特性も持っています。
1 黄身にアラキドン酸が多く含まれる
→ アラキドン酸は、アトピーの症状を起こす、炎症物質の材料になりやすい
(アトピーとアラキドン酸について復習したい方はこちら)
2 白身にアビジンというたんぱく質が多く含まれる
→ アビジンは、ビオチンというビタミンの吸収を阻害する
→ ビオチンのはたらき「アトピー症状を抑える物質を作る」ができなくなる
→ アトピーの症状が出やすくなる
さらに、このような卵の成分の特性は、生の卵を食べたとき、もっともつよく表れます。
(ケーキなどの材料として使われ、加熱されている場合は、そこまで注意しなくても大丈夫です)
本サイトの監修をしてくださっている伊藤龍一さんも、アトピーの完治状態を維持している今現在も、生卵は決して食べないそうです。
■「かきこむ」ことの弊害
また、卵かけごはんは、基本的にかきこんで食べます。
ささっと食べられる、と、朝食に取り入れている人も多いようですね。
しかし、それはつまり、よく噛まずに食べられるということなのです。
噛まずにごはんを食べると、どうなるか。
まず、噛んでいないので、食物はほぼ完全な形のままです。
加えて、噛まないと唾液と十分に混ざらないので、食物は唾液の消化酵素のはたらきを受けられず、まったく分解されないまま胃に入ってしまいます。
すると、胃には大きな負担がかかり、胃もたれや消化不良の原因になります。
その結果、未消化のたんぱく質が血中に侵入してしまい、アトピーの症状が出やすくなる可能性があるのです。
(症状にかかわっていても、アレルゲンとして検出されない場合もあります)
■「噛む」ことの大切さ
私たちの口からは、絶えず唾液が分泌しています。
それは、ものを噛むとき、もっともたくさん分泌されます。
唾液は、
●固い食べ物を噛みやすく柔らかくしてくれ、
●噛んだものを、さらに消化酵素によって分解してくれ、
●飲み込むことをスムーズにしてくれるのです。
いっぽう、個体と液体とが混ざった食べ物は、飲み込みやすくなっているにすぎません。
ですから、スムーズな消化のためには、意識的に口の中にとどめ、唾液と混ぜる必要があるわけです。
これは、じつは卵かけごはんに限ったことではありません。
雑炊、お茶づけ、カレー。
これらが玄米で作られていれば、なおさら注意が必要。
そして、最近はやりの果物ジュースや、 グリーンスムージーなんかも、要注意です。
アレルギー体質の方は、こういったものを、毎日のメニューに加えることは、避けたほうが良いでしょう。
特にお子さんの「いつものメニュー」を決めるのは、慎重にしなければなりません。
とはいえ、朝はとにかく時間がありませんよね。
お子さんの朝食に、できるだけゆったりと時間をとれるように、早寝早起きを心がけましょう。
そして、どうしても時間がない時は、噛まないと食べられないものを、少量与えたほうがよいでしょう。
■栄養豊富=体にいい ではない!
アレルギーの方々とかかわっていると、卵をたくさん食べている方が、比較的多いように感じます。
基本的に一日一個食べているという方や、それ以上食べている方もいます。
そして、卵について調べてみると、とにかく卵は完全な、究極の栄養食だ、という情報がたくさん出てきます。
たしかに卵は、アミノ酸スコアが100なので、たんぱく源として理想的とされています。
(食物には、いろんな種類のアミノ酸が入っています。
そして、ある食物に入っているアミノ酸の中に、ひとつだけ低レベルのものがあると、ほかのアミノ酸もそのレベルまでしか働けない・・・という特性があります。
つまり、いろんなアミノ酸が高レベルで含まれていると、効率的。その最高値が「アミノ酸スコア100」なわけです。)
(↑一般社団法人JミルクHPより転載)
・・・ただ、これは消化されれば、の話。
消化しきれない栄養。
それは、どんなにすばらしいものであっても、体内ではお荷物となり、健康に悪影響を及ぼします。
栄養豊富なものを、とりあえず体に入れればいい・・・わけではありません。
栄養があるものを入れれば入れるほど、健康になれる・・・わけでもありません。
大切なのは、自分が消化できる量の栄養を、できるだけ消化しやすい形でとる、ということです。
消化できて初めて、栄養として使われることができるのです。
しかし、実際の消化能力には、年齢差や、個人差や、コンディションの差、寒暖などの環境の差、人種の差なんかもあります。
「何を食べるか」と同じぐらい、「どう食べるか」に、もっと注意が払われる必要があるといえるでしょう。
そして、その最大のヒントをくれるのが、食物史だと、私は思っています。
ちなみに、玄米食と同じように、卵かけごはんも伝統食ではありません。
卵が物価の優等生と呼ばれるようになり、庶民が常食できるようになったのは戦後。
近代も近代!なのです( ゚Д゚)!