「ワセリンは石油由来で不自然だからアトピーに悪いですよね?」に答えてみる。 その2
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
さて、当サイトには時折、アトピーに悩む読者さんから質問をいただくのですが、
最近、ワセリンについて何度か、こんなご質問をいただきました。
「ワセリンは、石油由来で不自然だから、アトピーに悪いですよね?」
それについて、あれこれやりとりをしてお話ししたので、
前回「ワセリンは石油由来で不自然だからアトピーに悪いですよね?」に答えてみる。 その1に続き、その内容をアップしてみようと思います。
●ワセリンは肌に悪い? ・・・悪くないと思われます。
ワセリンの原料は、石油から取り出した「ペトロラタムゼリー」という油性の物質。
このペトロラタムゼリーから不純物を取り除いたものがワセリンです。
このワセリン、刺激性や副作用がほぼない、とされています。
だから、赤ちゃんの保湿剤として使われたり、、
やけどの治療や、浸潤療法にも利用されます。
ワセリンはまた、皮膚科などで処方される軟膏のベースとしてもひろく使われています。
アトピー患者さんに処方されるステロイドも、軟膏タイプであればベースはワセリンです。
このように、デリケートな状態の肌に使われていること、
また、広く使われる軟膏のベースとして使われていることから見ても、
ワセリンが医療現場でとても安全な物質として扱われていることが分かりますね。
ちなみに、このような用途に使われているのは、白色ワセリン。
ワセリンには、その精製度によって四つのランクがあります
一番左の、黄色ワセリンは、不純物が多く、今はあまり使われていないようです。
白色ワセリンより、さらに精製度が上がると、プロペト→サンホワイトと分別されます。
アトピーの患者さんで、プロぺトを使っている方は多いようですね。
サンホワイトは不純物を徹底的に取り除いてあるので、超敏感肌向きで、使用感もいいようですが、市販薬で健康保険が適用されないので、高くつきます・・・(^_^;)
■ワセリンは石油系だからべたつく? ・・・そういうわけではありません。
さて、さきほど、
やけどの治療や、浸潤療法などのデリケートな治療に、ワセリンが使われると書きました。
・・・ここであらためて、
みなさん、浸潤療法って、ごぞんじですか?
浸潤療法とは、近年医療現場で行われている、傷の表面を乾かさない状態に保つ治療法。
傷をよく洗い、ワセリンを塗ってラップをしておくだけで、速やかに治るらしいのです。
傷を消毒→かさぶたになるのを待つ、というやり方はもう古いんですって。
赤チンとか・・・もうやらないんですって!(笑)
つまり、
やけどや浸潤療法に共通しているのは、
表皮がダメージをうけて、皮膚を保護してくれてない、っていう状況。
そこにワセリンが使われるのは、
まず、先ほどふれたように、刺激や副作用が少ないから。
もう一つは、
ワセリンは皮膚に浸透せずに油膜を作るので、
外からの刺激から皮膚をまもってくれ、また、内部からの水分の蒸発を防いでくれるからです。
つまり、ワセリンは、保湿剤そのものではなくて、
保湿に使うラップみたいなものだとイメージして使うべきなのです。
しかし、お医者さんたちは、アトピーの患者さんに、この辺をあんまり説明せず、
「保湿にはこれ使ってね」
とだけ言ってワセリンを出しちゃうことがあるもよう。
すると患者さんは、ガサガサの肌に潤いを与えようと、ワセリンをたっぷり塗りこんでしまい、
結果、乾燥が改善されないばかりか、ひたすらべたついてしまった肌をもてあまし、
「ワセリンは効かないし、とにかくべたべたつく!」
という使用感をもってしまったり、
「・・・それはワセリンが石油系だからだ!」
ってなっちゃうママさんがいるのでは・・・(^_^;)と私は思っています。
■ワセリンの適切な使い方
ということで、
ワセリンの適切な使い方は、
●お風呂上りに、お肌がしっとりした状態で
●少量を
●てのひらで薄くのばしてつける
のがいいようです。
ワセリンそのものは保湿剤ではないので、たっぷり塗る必要はないのです。
しっとり潤った肌に、薄くラップをして、水分を定着させるイメージですね。
ちなみに、アトピーの症状がよくなると、
がさがさだった肌が改善し、自前の皮脂がうまく分泌されるようになってきます。
この時にさらにワセリンを塗ると、熱がこもり、かゆみなどの症状を引き起こすことがあるよう。
自分の皮脂は、自分の肌の一番の保湿剤。
ここでワセリンはお役御免です。
ちなみに、当サイトでは、
アトピーを改善させる過程で、ワセリンが必須だとは特に考えていません。
ただ、改善の過程でワセリンが助けになるのなら使うべきだ、と考えています。
とはいえ個人差や、症状とのタイミングもあるので、
ワセリンが助けになるかどうかは人それぞれです。
あわなければ、やめればよいでしょう。
しかし、それを試してみるチャンスを、
「ワセリンは石油系で不自然だから使っちゃダメ!」
という非論理的なイメージによって妨げられてしまうのは、すっごくもったいない、と強く感じる次第です。