「ワセリンは石油由来で不自然だからアトピーに悪いですよね?」に答えてみる。 その1
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
さて、当サイトには時折、アトピーに悩む読者さんから質問をいただくのですが、
最近、ワセリンについて何度か、こんなご質問をいただきました。
「ワセリンは、石油由来で不自然だから、アトピーに悪いですよね?」
それについて、あれこれやりとりをしてお話ししたので、
その内容をまとめてアップしてみようと思います。
■「ワセリンは石油由来か」・・・はい、そうです。
ワセリンは、石油から得られた炭化水素の混合物を精製・脱色して得られる物質です。
「やっぱりそうなのね!
つまりワセリンってプラスチックみたいなものってことでしょ?」
みたいなことを読者さんに聞かれたことがあるのですが、ちがいます。
石油は確かにプラスチックやビニールの原料です。
ですが、だからと言って、ワセリンの原料がプラスチックやビニールであるわけではありません。
「でも、石油でしょ?
つまり化学物質ってことでしょ?」
それは、多分誤解です。
そもそもみなさんは、石油って、なんだか知っていますか?
■「石油由来は不自然か」・・・その前に、「自然」とは?
プランクトンとは、海の中にいる小さな生物のことですが、このプランクトンが死ぬと、死がいは、土や砂といっしょに海の底に少しずつ積み重なっていきます。
そして、そのプランクトンの死がいの上には、数百万年、数千万年という長い年月の間に、砂やどろが積み重なっていくのです。
そして、プランクトンの死がいは、しだいに土の中の深いところにうもれていくわけです。
その後、死がいは、あるとき、土の中にいるバクテリアと地下の熱の働きで、「石油」に変わったのです。
(学研キッズネットより)
以上が最新の説のようです(サクッと知りたいときは子供向け解説が一番(^^)!)。
ちなみに原油はこんな感じ。
つまり、
石油って、大昔のプランクトンが長い時間をかけて変化したものなわけで・・・
そう、ザ・自然物質! なわけですよ!
その石油から、不純物を取り除いて、炭化水素の混合物を精製・脱色して得られる物質がワセリンです。
添加物はないので、原油由来100%と言えますね。
すると、
たとえば岩塩のみから精製された塩を「自然由来」と言うならば、
原油のみから精製されたワセリンも「自然由来」と言っていいはずです。
そして、そもそも、
自然が安全で、人工は危険、というイメージは、現実に即していません。
私たち人間は、生まれたままの姿で森へ入ることすらできませんよね。
自然は私たち人間のための自然ではないので、とくに人間に対する優しさを持ちません。
そこにある全てのもの、無機物も、微生物も、虫も、植物も、動物も、私たちにとって脅威となります。
だからこそ私たちの祖先は、人智を使ってそれを作り替えたり加工したりしてきたのです。
「自然素材」「自然由来」とうたわれる商品も、人間が管理した環境で人間のために作り上げたものといえます。
そのような考えから、
私は「ワセリンは石油由来だから不自然だ」というとらえ方には賛成できません。
そして、「ワセリンは石油由来で不自然だから体に悪いらしい」と言って、ワセリンを使わない方たちが、おおむね、そんな漠然としたイメージ以上の情報を持っていないことも気になります。
また、そういう方は、おおむね、
「ワセリン、ステロイドは不自然なものだから使ってはいけない、
アトピーは自然治癒力に頼って治すべきだ」
という考えを持っておられることが多いです。
私はこの考えには反対です。
というのは、私がこの活動において実感するに、
もっとも「不自然(この言葉には語弊がありますが)」なのは、私たち現代人の食生活であるからです。
特に、植物油(リノール酸)の取りすぎにより、身体が炎症体質に傾いていることです。
人間には確かに自然治癒力があります。
しかし、その前に、食事のかたよりという根本的な問題に立ち入らない限り、自然治癒力の力ではおいつかない場合が多いと、私は実感してきました。
そして、その過程で、ワセリンなどの保湿剤やステロイドは大きな助けになります。
しかしながら、いわゆる「自然派」のスタンスは、
ステロイドやワセリンを否定するだけでなく、
この植物油すら、「植物性のものは自然、だから安心」という漠然としたイメージの中にかくまってしまいがちです。
(それが無添加の玉締め絞りごま油・・・などのこだわりがあったとしても、じっさいにはリノール酸の割合に大差はありません)
「自然の」という言葉には、常に、漠然とした、美しく優しいイメージがつきまといます。
そして「人工の」には、私たちの力をそぐようなイメージがあるかもしれません。
しかしそれを現実世界に当てはめようとするのは危険である、ということです。
●とはいえ、アトピー患者さんに無条件にワセリンを勧めるわけではありません。
次回はワセリンはアトピーに悪いかについて書いてみます。